黒い猫

こんな指値は嫌われる

本日は「指値」について。

投資家としては、1円でも安く買いたいが、
売主、売買仲介としては1円でも高く売りたい。

この利益関係の完全対立構造が価格交渉を難しくしている要因。
自分は「投資家」、「売買仲介」両方の立場のためどちらの気持ちもよく分かる。


そもそも指値とは

辞書的には「取引にあたって,依頼者が指定する売買の値段」。
事情がない限りわざわざ高く買う買い手はいないので、
要するに価格交渉をして価格を下げること。

例えば、1,200万円の物件を1,000万円に値切って買うなど。

不動産の面白い点の一つは、
同じ不動産は一つとしてないため、「コーラは120円」のような一般的な価格がないということ。
売主の希望価格がそのまま販売価格になるケースが多い。

日々不動産に向き合って価格交渉していると
「値段なんてあってないようなもんだな笑」と思う瞬間が多々ある。

こんな指値は嫌われる

さて、本題。

不動産売買仲介をしていると、日々指値交渉を受ける。
投資家としては1円でも安く買いたいので、当然といえば当然だが。
そして、「うーんこれは印象よくないなー」と思うこともちらほら。

印象が良くない指値としては、
ずばり、「安くして」の一言で来るケース。

正直、全く協力する気にならない笑
投資家サイドの気持ちがわかる自分でもこれなので、
他の仲介さんはもっと「いやいや」と思っている気がする。

各プレイヤーの心情

チーム

交渉事はまずはプレイヤーの立場・心情を理解しないと
そもそも土台にも乗れない。一度整理したい。

買主(投資家)

自分を始めとした投資家。
もちろん、1円でも安く買いたいと思っている。

仮に、1億円8%の物件があったとして、200万円値切れれば、
8.00%→8.16%まで利回りが上げられる。
そりゃ、少しでも安くしたい。

買側仲介(場合によっては両手仲介)

1円でも高く売りたい。
なぜなら、仲介手数料は売買価格に対して割合で決定するから。
[(販売価格×3%)+6万円]×tax で、仲介手数料は決まる。

※あくまで上限額がこの数式なだけで、それ以下の場合もある。
基本は満額になることが多いが。

よって、価格を下げるということは
「自分の報酬も下がる」ことと同義語。

だから、基本的には嫌がられるのである。

売側仲介

売主側の仲介も、上記記載の会話が仲介と同様に
売買成約額に対しての割合で決まるため、高く売れた方が得。

だから、1円でも高く売りたい。

売主(エンド、業者)

売主は完全に買主と利益相反関係。
売主が高く売れば、その分買主が損をし、
買主が安く売れば、その分買主が得をする。

当然1円でも高く売りたい。

価格交渉を成功させる方法4つ

自分が実践している方法をご紹介。

自分が優位に立つ

これができると非常に強い。
例えば、自分以外に融資をつけた投資家がいなかったり、
価格を買い上げての購入希望など。

売側の方がが立場が強い状態で、
(例えば買付け殺到、融資も絶対つくような物件など)
いくら価格交渉を仕掛けても、絶対に成功しない。

どうしても指値をしたいのであれば、
「買いたい物件を指値する」のではなく、
「指値が通りそうな物件を探して来て買う」方が早い。

ボロボロ物件、法的瑕疵物件、心理的瑕疵物件など。

必殺の現金買い

不動産投資業界では現金買いが凄まじい威力を発揮する。
事実、結構かっさらわれたりもする。
(これ、ほんとつらい。なれたけど)

一般的に「現金買いが強い」とされるが、
なぜ強いのかというと、「絶対買う」ということで、
安心感が向上するとともに、立場が優位になるから。

信頼関係を築く

上司_握手のコピー

実際の価格交渉の場面ですぐに使える技ではないが、効果絶大。

仲介さんや売主さんが自分の味方になってくれるように、
信頼関係を作ることが重要。

冒頭にも書いたとおり、指値交渉は業者の利益を奪うことになる。
だから、嫌がられる。

それでもなお、自分の為に動いてくれるように、
日頃から信頼関係を作っていると、最後の最後で利いてくる。

理論武装する

例えば、

「自分の購入基準は、物件価格に対しての手残り比率が2%と決めています。
ただし、今回の物件だと少しオーバーしています。

300万円値引いて貰えれば何とかそこに合いそうです
融資もついてどうしても買いたいので、
300万円は言いすぎなので、せめて200万円何とか協力頂けないでしょうか。」

など。

ただ単に安くしてほしい!という要求よりは交渉成立する確率が高い。

for you 精神で望む

ちょっとこじつけ感があるが。

「売主さんも売りたいし、仲介さんも売買成立させたいじゃないですか。
だから、なんとかあと200万円安くしてもらって、まとめたいです

と、自分の利益だけではなく相手目線で価格交渉をしていることを伝える。

仲介業でも使う

この手法は、仲介業での価格交渉でも実際に使う。
一見すると、「大幅な指値」は失礼になるような気がするが。

売れない価格のまま物件を転がしていても、
売主さんも困りませんか? 売り仲介としても利益にならないし。
であれば、この金額まで下げて、何とかまとめましょう」

というような流れ。

とはいえ、ときには「は?何いってんの?」と
空中分解することも有るが笑

情報をアップデートする

MacBook キーボード 2

時々、「私は指値で半額にならないと買いません」という方に遭遇する。
その方がベテラン投資家さんであれば、「なるほど」と納得できるところだが、
大抵の場合は、「まだ買っていない or 買っていても小規模」の方。

話を聞いた時の僕の感想は、

「どうぞ、一生勝手にやっていてください」

というところ。
そりゃ気持ちはわかるが、よっぽどのパワーバランスが強くないと、
基本的には不可能。

そして、話を掘り下げて聞いてみるとそのような方は、
10年くらい前の本を参考にしている様子。
情報は常にアップデートしなければ、不動産投資はやっていけない。

もちろん、10年前に出版去れている本を馬鹿にするつもりは一ミリもない。
伝えたいのは、「事情が変わっている」ということ。
マーケットが変わっているのであればそこに対応していかなければ、やっていけない。

数年前、誰がスルガ銀行が閉まると思っていただろうか。

余談:電話1本で50万円安くなった実例

蘇我第二マンション

まだ1棟物を探していなかった時に、買おうとした区分マンション。
今見ると、外観がひどい笑

結局色々検討した結果、購入には至らなかったが、だめでもともと!と
すみません、大変恐縮なのですが、端数の50万円安くしてくれないですか、、、!」
と電話してみた。

なんと、これが通ったのである。
数百万円を前にすると50万円は霞んでしまうが、実際大金である。
当時の月収の約2倍だし笑

今振り返るとなんの戦略もなかったが、
電話一本掛けただけで、50万円安くなるから、
不動産はすごいと、痛感した。

おそらく、5分も電話をしていないので、
時給換算すると、約4万円、、、。
すごい世界だ。


関連書籍

自分が今まで読んだ本で、交渉事に使えるものをご紹介。

『ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由』
酒井稿 さん

いきなり全然違うジャンルの話だが。
響いたポイントは、「選択肢が一つしかない時、人は不自由になる」という部分。

交渉事に活用するとしたら、
「選択肢をいくつか持って、交渉に臨む」ということ。

一つしかない提案だと、それが蹴られた時終わってしまうが
複数の選択肢を持っていれば、バリエーションが広がる。

『武器としての交渉術』
瀧本哲史 さん

響いたポイントは、こちらも@「複数の選択肢をもち、最良のものを選ぶ」
という部分。

選択肢がない時、人は立場が弱くなる。

『なぜあの人が話すと納得してしまうのか?
―価値を生み出す「バリュークリエイト交渉術」』

この本はオーディブルで聞いた。
響いたポイントは「交渉によって全く新しい価値を生み出す」という点。

「交渉」と聞くと、多くの人が
「言い負かす」、「説き伏せる」ということをイメージするが、
この書籍では全く違うと説明している。

どちらかを融資に着地させるのではなく、交渉相手と120%を目指すことが重要。

余談:見よう見まねでやったら失敗した、金融機関との交渉

バリュークリエイト交渉術を読んでいる時、
まさに金融期間との交渉が発生した。

お客さんの新設法人の登記場所をどこにするか?
という論点。
結論、「自宅でなければ融資不可」が覆らず、そのようにしたのだが。

プロセスで、

**さんと僕の共通のゴールは、融資を実行して無事に決済することじゃないですか。
協力すれば、できると思うんですよね。
お互い、決済したいわけではないので

と、あーだこうだ行ってみたが、結局無理だった笑

最後に

交渉術については色々な人が、色々な手法を提示している。
色々試して自分にフィットするものを採用すればそれが一番。
ぜひ挑戦してみてほしい。

ただし、人間関係全般に言えることだが、
信頼を積み上げるには非常に時間が掛かるが、失うのは一瞬。

自分都合だけを押し付けて、
相手との関係性を崩すことだけは気をつけよう。

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