家族のシルエットを囲む二つのて

不動産投資は家族の同意を取るべきか

不動産売買仲介業をしていると日々様々なお客様に対峙します。面談で直接お話でいる方もい らっしゃいますし、他の社員が対応して個人情報が記載されているプロフィールシートだけ見るケー スもあります。毎日一人は増えていたので、最低でも月に30人ほどは拝見する計算ですね。年収 や資産背景などはお一人お一人様々ですが、驚くのが「ご家族の同意を得ていない」方が7割~8 割にも及ぶことです。プロフィールシートだけでなぜわかるのか?と思われるかもしれませんが、 記載項目の中に、「ご家族情報」があるからです。年齢、お住まい、収入などの他に「連帯保証 が可能かどうか?」の記入欄があります。お会いする方の7割~8割の方が、ここが空欄、もしく ははっきりと「不可」と記載があります。
僕はこの事実にとても違和感を感じます。端的にいうと、「ご家族を置き去りにした資産形成 に意味はあるのか?」と思うからです。ご家族の連帯保証が得られないということは、実務的に 不動産投資の足かせになりますが、それ以上に「そもそもの目的」を見失った投資活動は危険だと感じます。

 まず、実務的なデメリットからご説明します。金融機関の立場からすると、「より安全な人」の方が貸しやすいです。たった一人で数億円の融資を申し込むAさんと、本人と奥さん、ま たはお子さんやご両親がバックアップしてくれているBさんがいたとします。もしあなたが金融機 関の担当さんだったらどちらに融資をしたいでしょうか。
 具体的な部分では、「属性と銀行の規 程では30年の融資が組める方」がいても、ご年齢が高齢であれば残り20年しか借りられない、ということが起きます。このときに、年齢が自分より若い配偶者さんや、お子さんが連帯保証に入っていれば、融資が受けられる可能性が非常に高まります。

また、年収600万円の旦那さんと年収400万円の奥様がいらっしゃったとして、旦那さん単体 ではもちろん「年収600万円」の評価しか受けられません。しかし、奥様も協力してくれ、連帯保証に入れれば、合算をして年収1,000として扱ってくれることもあります。仮にこれで400万円 ×10倍で4,000万円多く借り入れができたとしましょう。ざっくり計算で、年間80万円の手残り収入になります。実務的な部分でもだいぶ変わってきませんか。


なぜ、連帯保証不可なのか

実務的に不利になる点の一部をご紹介しました。しかし、僕が本当に気になるのは、「ご家族の同意を得ない不動産投資をして、その人は一体何を目指しているのだろうか」という点です。配偶者さんが連帯保証不可の方に、「なぜ、配偶者様やご家族の方は連帯保証になってくれないの ですか?」と質問すると、大抵下記のように返ってきます。

「言ったけれど無理だった」

感覚的には、二つの回答の割合は50%50%です。「説明したけれど無理だった」の場合は一度説明を試みているので、状況としてはまだ良い方です。日本では欧米と異なり「金融教育」をほとんど受けずに社会に出ます。そんな彼らにいきなり「数千万円単位の借金をして、収益不動産を買いたい」と説明をしても、すんなり「わかった」と理解を得られるケースはほとんどありません。しかし、必死に勉強して、努力している姿を見せれば理解してくれるケースがあるのも事実です。こちらの方がまだ状況はいいと申し上げたのは、何度も何度も説明をしたけれど、理解を得られないこともありますが、この場合には不動産賃貸業をスモールスタートをして、実績をみせることで理解してもらえるケースがあるからです。そもそも、理解を得られないとしても、一度相談していることが重要です。

「言っても理解されない(だから、話していない)」

 僕がより心配になるのは「そもそも説明すらしていない」というケースです。数千万円、場合によっては平均的な生涯賃金以上の借り入れをするのに、パートナーに相談もせず始めるというのは、順序が違います。そういう方は自分が死ぬまで秘密にしているつもりなのでしょうか。配偶者さんに隠せたとしても、今度は相続人に多大な迷惑がかかることになります。
また、不動産賃貸業をしていると、空室や修繕など対処が必要なことが発生します。自分一人 で乗り越えられる規模であればいいですが、どうにも出来ないレベルのトラブルが発生した時、一人で対処できるのでしょうか。今まで経験したことのないトラブルを一人で乗り越えられる人 が多くいるとは思えません。そのときに初めて打ち明けて、ご家族が協力してくれるでしょうか。 相談してくれていなかった事にショックを受けるのではないでしょうか。


感じる、根本的な疑問

 更に僕が感じる根本的な疑問はその方は「一体何のために不動産投資をしたいのか?している のか?」ということです。多くの人は自分とご家族の幸せのために日々生活しているのではないでしょうか。そのご家族を置いてけぼりにした状態で不動産の規模拡大をするのは本末転倒ではないのかと思うわけです。不動産投資の規模を拡大するのはたしかに楽しいです。

資産規模拡大に伴 い可処分所得も比例して増えます。しかし、自分が資産数億円、数十億円になったときに振り返って家庭が崩壊していたら、それは本当にあなたが目指した姿なのでしょうか。不動産賃貸業をすると決めた以上、まずはご家族に「なぜ不動産投資をしたいのか?」をはなし、協力を得るべきです。


最後に

不動産投資は銀行から融資を受けること(そのケースが多い)、その場合は長期融資になること、場合によっては代をまたいで不動産を引き継ぐこと、などを考えると、「家族で取り組む」ことにとても相性が良いビジネスです。だからこそ、「なぜ不動産投資をしたいのか?」「目標達成したときにどういう状態になっていたいのか?」をご家族と話して、取り組んで欲しいと思います。
実際に、家族に黙って不動産を購入しようとして関係性が大きく悪化したご夫婦や、中には実際に離婚までしたケースをいくつか知っています。そういう方もきっと今より生活を良くしたいと思って不動産投資に取り組んだはずだと思うのです。順番を間違ってしまったために、始める前より状況が悪くなっては、意味がありません。
しっかりと取り組めば、不動産賃貸業は非常にメリットがある業種です。ご家族と合意形成ができ、悲しい思いをする投資家さんが少しでも減れば、幸いです。

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