物件を探す一つの基準でもある「築年数」。
新築or中古で明確に投資戦略を分けている投資家さんも多い。
今回はその「新築」について。
一口に新築といっても実は3種類あることをご存知だろうか。
投資家さんと話していると、意外と知らない?と思うことが多いので
一回まとめてみようかと。
楽待などのポータルサイトでも「新築」と一つのカテゴリーにまとめられてしまう。
※それ以上細かくする必要もないと思うが。
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かく言う自分も、不動産業界に転職したての頃は、
「土地先行ってなに?」状態だった 笑
結論:新築には3つの種類がある
結論ファーストで説明すると、実は3つ種類がある。
- 建売
- 土地先行
- 分離発注
上記の3つ。
1番が一番簡単だが、利回りが低く、
3番が一番むずかしいが、利回りは高い物件を作れる。
3つのタイプの詳細
1.建売の新築
まずは「建売」の新築の場合。
これが最も簡単な新築物件の購入形態。
不動産業者さんが土地を仕入れてくれ、
その上に建物も作ってくれる。
業者さんがすべて行い、完成した物件を購入できる。
場合によっては、すでに入居付けも進めてくれており、
「空室一つの新築物件」、「満室の新築物件」
ということがあったりする。
これは非常に楽なため、初心者に取っては買いやすい新築物件と言える。
収益性 〜利回りは普通〜
このタイプの物件の利回りはどうなのか?というと、
「普通」か「少し低い」くらい。
なぜなら、すべて業者さんにお願いすることになるため、
完成までの各フェーズでマージンが発生しているから。
また、「簡単なため、初心者に向いている」と前述したが、
簡単ということは、利回りは低くなるということ。
利回りを上げようと思えば、面倒な途中の工程も自分で行う必要がある。
利回り低めと言っても、エリアや購入先を選べば勝負できる物件はたくさんある。
僕が購入した1棟目もこのタイプの新築物件である。
2.土地先行の新築
次に、「土地先行」の新築の場合。
「土地先行」と略して呼称されがちだが、
正確には「土地先行決済の新築物件」ということである。
マイソクには1.の新築物件と同じように記載されることが多いので、分かりづらいことが多い。
大体隅っこの方に小さく「土地先行」と書いてある。
どういう仕組かと言うと、
[土地先行決済物件の流れ]
1.投資家さんは土地だけ先に決済して購入する。
(所有権移転する)
この際には土地だけの分の融資を受ける。
⇩
2.すでに自分のものになった土地の上に建物を建築していく。
この時、工務店さんと投資家さんが直接「建物請負契約」を結ぶことが多い。
※そのため中間マージンが省け、結果利回りが上がる。
⇩
3.約半年掛けて建物を建築して完成したタイミングで、
再度銀行から融資を受けて建物費用の残金を支払う。
という流れが、「土地先行物件」の流れ。
読んで字の如くだが、土地を先に決済するので、「土地先行」と呼ばれる。
収益性 〜利回りは相対的に上がる〜
この場合の利回りはどうなのか?というと、
同じエリアの物件よりは相対的に上がることが多い。
なぜかと言うと、建築段階で工務店と直接契約するため、
中間マージンが省けるからである。
建売の場合は、工務店と売主業者が契約をしているため、
売り出し価格には売主業者の利益が乗っている。
工務店と直接契約ができるということは、
「仕入れの価格で購入できている」ということ。
手間はかかる
デメリットとしては、手間がかかること。
木造で完成まで約半年、S、RCの場合だと完成まで約1年ほどかかることが一般的。
投資家はその間プロジェクトオーナーとして、プロジェクトを進めていかないといけない。
とはいえ、実際は要領をわかっている工務店さんが仕切ってくれることが多い。
または、紹介してくれた業者さんが仕切る。
ただし、彼らがしっかり機能しない場合は自分で舵取りをして、
プロジェクトを進めていかないといけない。
また、順調に進んでいたとしても、
・工事のクオリティをどうするか。(場合によっては仕様をあげる)
・外壁、ドア、内装などの仕様をどうするか。
・全体のスケジュール管理
・銀行とのやりとり
など、なかなか手間はかかる。
ものづくりが好きな方だったり
本業でプロジェクトリーダーなどを経験している方であれば、
おそらく何ら心配ないと思う。
しかし、「あまり不動産賃貸業に前のめりではない」、
「基本的には業者さんにすべて任せたい」
という方だと、あまり相性は良くないだろう。
3.分離発注の新築
最後がこちら。これが最も収益性を高く物件が作れる。
一言で言うと、「業者さんと同じことをする」ということ。
土地も工務店さんも自分で見つけてきて物件を建てるということ。
まず、建築する土地を自分で探す。
(探すのは業者ではなく、土地です!笑)
やってみるとこれがなかなか難しい。
・建ぺい率、容積率からどれくらいの建物が立つのかを瞬時に計算
・道路付け、都市計画的にイメージしている物件が建つのか検証
・イメージした物件から収益性(部屋がいくつ入って、それぞれ家賃がどれくらいなのかを調べる)
を計算して、そもそも合う土地なのかどうかを検証
・大枠合いそうであれば、そこからざくり目標の建築コストを算出
・
・
・
とやることがいろいろある笑
※ざっくり記載しただけなので、まだまだやることはある。
土地が見つかったら、次は安く建築してくれる業者さん探し。
コネを持っている人であればよいが、
初めて行う地域であれば探し直しのため、タウンページなどを使って必死に探していく。
まとめると、「大変だけど、そのかわり儲かる」というのがこのパターン。
収益性 〜失敗しなければ利回りは抜群〜
通常は業者さんが行うことをすべて自分で行うため、
利回りは抜群に良くなる。
ベテランの投資家さんだと、相場より1%は当たり前。
相場に対して+2%くらいの利回りを出している方もちらほらいる。
都内で8%とか。
ここのレベルまで到達すると絶対負けない物件を作れる。
そりゃ負けないですよね。
持っていても確実にCFを生んでくれるし、
相場に利回りを引き直してマーケットに出せば、それはそれで買い手がつくという 笑
僕もこのレベルまで上がることを一つの目標をしています。
一度チャレンジしたものの、他の事業に取り組みだしたため、
結局断念、、、笑
ただし、将来的には絶対に作ってみせます。
それぞれの融資の流れ
少し細かくなるので、大枠だけ。
※別記事で詳細説明します。
「1.建売物件」の場合は土地建物の一括の融資が行われる。
なので、金消契約も1度。
「2.土地先行と3.分離発注」の場合は「つなぎ融資」というものが発生する。
どういうことかと言うと、総額の融資が1億円だとして、
それが一度に実行されるわけではないということ。
- 土地の購入資金(土地の購入資金)
- 建物の着工資金(工事をスタートするときに支払う費用)
- 建物の中間資金(上棟時点が多い)
- 建物の竣工資金(完成したときに支払う残金)
1.〜3.をつなぎ融資で資金調達をし、
4.の時点で本融資が実行され、1.〜3.の融資を返済して、一つにまとめることになる。
それぞれのタイミングで金消契約が必要になる。
割と複雑ですよね笑
僕も何度か聞いて理解出来た。
詳細は別記事で説明予定なので、
融資が分かれる場合があるんだな、ということだけ覚えておいてもらえればOKかと。
参考書籍
各画像をクリックするとAmazonへ推移します。
地方を拠点に活動されている大城さんの書籍。「地方」「デザイナーズ」というたいとるだったので、正直「どうせ利回りは対して高くない物件なんだろうな」と思って読んでみたら大間違い。
利回りもしっかり出しており、相場よりも高い家賃で入居してもらっているそう。
また、建築については「ガルバニウム鋼板」など細かい仕様にまで及ぶ解説があり、非常に勉強になる。
不動産投資家育成協会の認定講師の塩田さんの初の著書。まだ発売前(発売日は8月28日)のため中身が読めていないが、東京都内で利回り8%のRCの物件を作るそうで、、、。木造ではなくRCの利回り8%ですよ。すごくないですか。
木造であれば、自分もなんとなくできるイメージはあるが、RCのとなるとまださっぱりどうやるのか不明。読むのが楽しみな1冊。
最後に
新築物件をの種類を3つ紹介する記事でした。
3つ種類があるだけで、それが良い、どれが悪いという優劣をつける訳ではなく、
「それぞれ種類がある」ということを知っていることが大事かなと。
収益性という観点だけで見ると、「分離発注」が優れているが、
その反面、多大な労力と知識レベル、スキルを必要とする。
一方、建売は手間はかからないが、収益性が一般水準に。
なので、それぞれの投資家さんのレベルや、
不動産投資をする目的に照らし合わせて、
「どれが最適か?」を判断して頂ければ良いかなと。
そのための参考資料になれば幸いです。
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